第10章 雪の夜
寮へ戻ると、三人が今日はここにいないと思っただけで、やけに静かに感じる。
今日は一年生も三日まで泊まり込みの任務があるらしく、七海君や灰原君までいない。
まぁ三年生はいるんだけど、それでもやっぱりとても寂しく感じた。
部屋へと入り、寒い身体を温めるようにしてお風呂に入ると、疲れていたのかその後は早々と眠りについた。
次の日の朝は、いつも通り早めに目が覚めて…する事もなくジャージに着替えてランニングへと向かう。
天気はあまり良くなくて、雪でも降ってきそうな空だ。
ランニングがてら山の下にあるコンビニまで行くと、そこでいつくかお菓子を買って寮へと戻る。
シャワーを浴びてお昼ご飯を食べて、テレビを見て昼寝をして。
お風呂に入ってまたテレビを見ながら今日買ったお菓子を食べてると…あっという間に時間は過ぎて…いつの間にか夜になっていた。
年末スペシャルの番組を観ながら、七海君から灰原君が満面の笑みをした写真付きメールへくすっと小さく笑いながら返信をする。
31日まで泊まり任務なんて、去年の私達と一緒だ。だけど写真に写ってる灰原君はとっても楽しそうで、二人で夜ご飯にでも出かけているのかもしれない。
「それにしても、今日本当に寒いなぁ」
閉め忘れていたカーテンの窓の外を見つめると、白いものがふわふわと窓ガラス越しに影を作っているのが見えた。
窓に近づきそれを開ければ、ブワッと寒い空気が室内へと入り込んでくる。
「わぁっ、雪だぁ」
どうりで寒いわけだ。
私はニットのカーディガンを羽織りマフラーをすると、寮の外へと出た。
いつから降っていたのだろうか…雪は薄らと積もり始めていて、地面を白く染めている。東京といえどここは山の中だから気温も低い。明日にはもっと積もってるかもしれない。