第10章 雪の夜
「それじゃあリン、明日は気を付けて行きなよ」
「夏油はリンのお母さんかよ」
「うん!じゃあ皆んな二日にまた会おうねー!良いお年を」
改札に入っていく傑と硝子、それに着いていくようにして悟が切符を取り出すと一度ピタリと足を止め早足でこちらへ戻って来た。そして私の前で立ち止まる。
「どうしたの?」
キョトンと目の前に立っている悟を見上げれば、悟は無言のまま私を見下ろした後。
「何かあったら電話しろ」
「…?うん、分かった」
帰り道の心配をしてるのかな?私ならそこら辺の人に例え絡まれたりしても勝てるって分かってるとは思うけど…
悟はそんな不思議そうにする私をもう一度見つめると「はぁ」と小さな溜息を落とし、頭をぽんっと一度撫でると「じゃあな」と言って改札へと消えて行った。
私はそんな悟の背中に手を振り、背中が見えなくなると自分も駅とは反対方面へと歩き出す。
今から寮に帰ったら21時ごろかな。
はぁ…それにしても本当に寒い。