第9章 少しの変化
私はあれからニ日後、無事に退院出来た。
皆んなは迎えに来てくれるって言っていたけれど、忙しい任務の合間にそんな事してもらうわけにもいかず、一人高専へと帰る。
そもそも、身体の傷自体は悟がすぐに反転術式で塞いでくれたから、ほとんどダメージは残っていない。つまりただ三日間眠っていただけで元気というわけだ。
だけど夜蛾先生には一応後二日休むようにと言われた。高専に来てこんなに休みをもらったのは初めてかもしれない。
「ふぅ」
自分の部屋に着き荷物を置くと、久々の自分のベッドへとバタっと倒れ込む。うん、やっぱり自分の部屋が一番だ。
そんな事を考えながら、一体二日も部屋で何をしていたら良いんだろうと考えゴロゴロしていると、いつの間にか眠っていたのか…
「……さ、ん…」
トントン、と優しく肩を揺すられ、閉じていた目をゆっくりと開ける。
「リンさん」
目を開けた先には、制服姿の七海君が屈むようにして私を覗き込んでいた。
「やっと起きた」
「七海くん…?」
まだボーとする頭で、あれ?何で七海君がここにいるんだろう…と思いながらゆっくりと身体を起こす。
「勝手に入ってごめん。電話しても全然出ないから心配で来た」
困ったように眉を下げる七海は「ずっと寝てた?」と私の隣へと座る。
「え…?今何時?」
ずっと…?少しうとうとしてたくらいだと思ってたのに。パッと窓の外を見ればもう外は真っ暗で、どうやら七海君は任務後すぐに私の部屋に来てくれたみたいだ。
「19時になるところ」
「え?もうそんな時間?私半日も寝てたの!?」