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【呪術廻戦】抱きしめてそばにいて

第9章 少しの変化




「七海、泣きそうだったね…」



タバコを咥えながら、隣の硝子がそう呟く。



「それはそうだろう。恋人が意識不明だったんだ。誰だってあぁなる」



そんな硝子に傑が答えた後、俺の方へと振り向いた。



「悟は、平気か」


「何が」


「ろくに飯も食べてなかっただろ。睡眠もだ」


「………別に、俺は平気」



リンが目を覚さなかった数日間は…


気が狂いそうになるほど長く感じた。


俺が弱かったから


アイツに傷を負わせた


一歩間違えれば死んでいたかもしれない。





そう思うと、心臓がエグれそうになるほど俺を狂わせた。





だけど…



リンが目を覚まし、その後病室に入ってきた七海を見た瞬間のアイツの表情を見て…抱き合う二人を見て…



やっぱりアイツの隣は俺じゃないんだと…痛いほど痛感した。




死ぬほど心配したはずなのに


アイツを無茶苦茶に抱きしめ閉じ込めておきたいと何度も思ったはずなのに。



アイツを抱きしめるのは俺の役目じゃない。




「悟、何か食べに行こうか」



傑が空を見上げながらそう呟く。



「なら私も付き合ってあげる」



タバコを咥える硝子も傑につられるようにして空を見上げた。



「私の奢りだ、肉でも食べよう」



だから今は、この二人の優しさがムカつくほどにありがたいと、そう思った。




「おう」




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