第9章 少しの変化
うつむき黙り込む私に、悟がポンっと頭に手を載せる。
呪術師とはなんと残酷な仕事なのだろう。
あと何人…人々の死を目にしなくてはいけないのだろう。
「悟…ありがとう」励ますように頭を優しく撫でてくれる悟にそう呟いた時だった。
ガラッと病室のドアが勢い良く開き、そこからは焦った表情の硝子と、心配気な顔をした傑が慌ただしく室内に入ってきた。
「リン目が覚めたんだね!全然起きないからどうしようかと思った!五条の反転術式が失敗したのかと思ったんだから!」
私の座るベットへと走ってやってきた二人は、悟をドカッと勢い良く押し退けると、私の生存を確認する様に見つめ。硝子は私の手を取り傑は私の背中を撫でた。
「痛って!」
吹き飛ばされた悟が二人を睨み付ける。
だけどそんな事二人は気にする様子もなく、傑が口を開く。そんな傑の姿も…悟同様いつもと少し違って見えるのは気のせいだろうか…
「リン、3日も眠っていたんだよ。心配した…」
「え?3日も!?」
しかし傑の予想外の言葉に思わず驚いてしまう。3日も寝てたの?それは皆がこんなに心配するのも無理ない。
ていうか…それよりも…
「悟が反転術式で治したの…?」
さきほどの硝子の言葉が今更気になり始める。
え、だって悟は反転術式は使えないはず…
よく赫失敗してるし……