第1章 赤ずきん
「ずっとマイキーを狙ってた…悪かった」
「え、場地さんオレは?」
「マイキーを食べるために、己を磨き力を蓄えていった」
「え、あの…場地さんオレはぁ?」
マイキーばかりに固執する場地の打ち明け話に嫉妬した千冬が、隣で彼に詰め寄ります。
「お前はついでだ」
「場地さあぁん!」
その返答がショックでさめざめと泣く千冬を元気付けようと、場地が苦笑して語り掛けました。
「冗談だ。ほら、木苺のパイ半分コしようぜ千冬」
「ハイ!」
「立ち直り早っ」
二人の会話を聞いていた武道が、元気な返事をする千冬に呆れて笑います。
「一時はどうなるかと思ったけどさ」
ふとマイキーが先程までの出来事を思い起こし、ぽつりと言いました。
「元に戻って…生きててくれて良かった」
大切な幼なじみを潤んだ瞳で見つめマイキーが微笑むと、場地が少し照れたように応えます。
「ありがとうな、マイキー」
日常が戻った喜びを噛みしめながら、赤ずきん達は一層絆を深め合い、この先も仲良く暮らしていきました。
配役
赤ずきん:マイキー
おじいさん:万作
狼(憑依):場地
猟師:武道
猟師2:千冬
終