第5章 ★ベッドの上のお手伝い
築50年の古い木造アパートの床板は、歩行程度の僅かな圧がかかっただけでもミシッという音を立てる。
飛んだり跳ねたりしたら木が割れちゃうんじゃないかって、ここの住人はみんな気を使っているはずだ。
私だって例外ではない。だけど今、私の部屋の床板は、穴が開きそうなほどミッシミッシと激しい軋みを奏でていた。
「はぁ、はぁ、っ……ァっ、やぁっ……あんッ!」
「もうとろとろに溶けてんじゃん。早すぎない?」
ダブルベッドの上で、組み敷かれた男女が一糸まとわぬ姿で下半身を揺さぶっている。それはすなわち五条先生と私だ。
五条先生が腰を前に突き出すと、私の上体が揺れ、寸秒の遅れでギシッとベッドのスプリング音が鳴る。
ギシッギシッ、ギシッギシッっと一定のリズムで刻まれた軋みが耳に入るたび、私と五条先生は性行為をしているのだと自覚させられ、恥ずかしさで顔を覆いたくなる。
床板とスプリングの重奏はずっと鳴り響きっぱなしだ。