第4章 隠し味
上から見下ろしてきた同居人と目が合って、私は軽く死んだ。そのビジュアルが、茈クラスのとんでもない破壊力だった。
お風呂上がりの白い髪はまだ濡れ髪で、前髪の毛先にぽつんと滴る雫がやたら艶っぽい。
ソーダ色の瞳は、近くで見るとキラキラしゅわしゅわしていて、ラメ入ってるんですかってくらい美しい。唇はお風呂で血色がよくなったのかいつもよりピンク色。
見上げる私と見下ろす五条先生が至近距離で目が合ってる。これは一体何の少女漫画ですか?
こんなシチュエーション、漫画だったら目を閉じたらキスされるって絵面だ。
ただキッチンラップを取って私に渡そうとしてるだけなのに馬鹿な妄想スイッチが入ってしまい、全力でスイッチを叩き壊して前に居直る。
「ありがとうございます」って冷静に言おうと先生の方に体をくるっと回転させた。
ん、ちょっと待って。なに? なんで?
目に飛び込んできたものに再び死にかける。体が動かなくなる。
――上半身、裸じゃないですかァアア!