第18章 for the future
「あーそれと念のため言っとくけど、助けに来るなよ」
「赤ちゃんがいるのに、さすがに行けないよ」
「いなかったら来るつもりだったの?」
軽く笑みをこぼして首を横に振る。流石にそれは無謀だと分かっている。
「万愛は僕のかわいいベイビーを守って」
悟は私のお腹に優しく手を当てた。温かな体温が伝わる。ずっとこの陽の光のようなぬくもりを感じていたい。
束の間の幸せな時間……永遠に続いて欲しい時間。
小さな命を宿した膨らみに置かれた悟の手の上に手を重ねて、こくりと頷いた。そろそろ出発の時間だ。
「悟……」
「ん?」
死なないでって言葉が喉元まで出かかっている。心の一番深いところでは、行ってほしくないって思いも渦巻いている。
声にならなくて和装の衣の裾を掴んだ。そのままでいると、悟は少し屈んで視線の高さを私に合わせた。
ブルーダイヤみたいな綺麗な瞳で、私の目を覗き込む。
以前より髪が少し短くなってシャキッと立っている。世界一かっこいいと思う。だから私もそれに似合うよう綺麗に明るい笑みを作った。
「ロコモコ丼、スペシャルに美味しいの作るから帰ってきてね」
腰に手を回しぎゅうっと抱きついた。指の先々まで力を入れる。