• テキストサイズ

【呪術廻戦】獄門疆から君のもとへ〜五条悟〜

第18章 for the future


 決戦のために用意した和装の羽織りを悟が手にした。

 隆々とした筋肉が浮き上がって見える黒の半袖シャツの上にそれを纏う。襟巻きを巻く。

 腰紐を結び足首で布を絞る特徴的なズボンを履いた悟はまもなく高専へと向かう。

 ピリッとした緊張感が私の中に走った。

「そろそろ出かけるよ」

「うん」

 こう返事するしかない。これが最強呪術師の妻に課せられた宿命なのだと気を奮い立たせる。誰よりも彼を信じて待っていなくては、と思う。

 "悟は強い。必ず勝てる"

 そう自分に言い聞かせる。少しでも気を抜けば、ぱりんと心が割れて砕けてしまいそうで、カチカチに固めて凛として悟を見上げる。涙は浮かべていないはず。

「行ってらっしゃい」

「ん。晩御飯はロコモコ丼ねーハワイの気分味わえるから」

「もぉ、わかったよ」

 こんな調子だから何も言えない。言いたいことは山ほどあるのに。

 怖くないのかとか、勝算はあるのかとか、もし窮地に陥ったら逃げてほしいとか。
 
 でもどれもこの場で口に出すのに相応しくない言葉で、ぎゅっと口を結んだ。


/ 681ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp