第18章 for the future
万が一の事があったらどうしようって弱気なことばかり考えてしまう。
そんなこと、口に出せるわけもなくグッと堪える。彼は至極冷静な顔をして静かに答えた。
「僕には守りたい未来がある。そう思って今から全力を出すんだよ」
綺麗な笑顔を見せてすっと椅子から立ち上がる。「ご馳走様、今日も美味しかったよ」って言って。
何も変わらない朝。何も変わらない悟。だけど違う特別な日。
怖い。異常なくらい平穏だからこそ、恐怖心が増す。
掬い取った水が指の隙間からこぼれ落ちていくように幸せが崩れてしまうんじゃないかって。悟がこの日常から消えてしまうんじゃないかって。宿儺に敗れる事があるんじゃないかって……。
私も椅子から立ち上がったけど、何も言えず立ち尽くしてしまった。
悟は昨晩もベッドの上で「勝つさ」って私の頭を撫でて言った。けれどどうしても不安が拭えない。