第17章 帰還
「んーあぁ、僕の勘違い。なんでもないよ」
「変なの。なにっ、気になる!」
「……たまーに見えたんだよね隣の部屋に。それかなぁーって」
「見えたってまさか」
「そっ、幽霊。ドアの前に立ってたりしてさ。千愛のこと愛おしそうに見てた」
「へっ?? ひゃぁあっ! なんで言ってくんなかったの、めっちゃ怖いじゃん! 何回も通ったよドアの前」
「怖がると思って言わなかったんだよ。モテモテでいーじゃん」
「その幽霊が呪具を私にくれたって報告書に書いてあるの?」
「拡大解釈すればそうなるかな」
「やだ怖すぎ。呪霊は祓えるけど幽霊はどうしていいのかわからない」
どう考えても呪霊の方が厄介でしょって思うけど、子供みたいに幽霊にビビる万愛もまた可愛いらしい。
ネックレスをもう一度手に取って僕はぎゅっと握りしめた。呪具から熱が伝わってくる。親の愛情ってやつ?