第17章 帰還
羂索が往来している結界があったってことは、あの世界にも特殊な場所に呪術的空間が存在しているんだろう。
おそらく国外に。……ハワイ、か。なるほど、ラブラブ旅行じゃなく呪具を作るために留守してたってわけね。全てが繋がった。
僕は隣に座る万愛の頭にポンポンっと手を置いた。
「君の家系には恐れ入ったよ。愛の力は凄まじいね」
「家系? 呪具と何か関係してたの?」
「まぁね。万愛にネックレスを渡したのはあの隣人じゃないかな」
「隣人って、あっちの世界のボロアパートのこと言ってる?」
「そう」
「え? 隣は空室だったじゃん」
目をまんまるにしてこちらを見る。
スミレさんとボブの記憶は万愛の中からごっそり無くなっているようだった。というより意図的に消されたのだろう。