第17章 帰還
「さてと、答え合わせするか」
僕は硝子と入れ替わりにソファーに腰掛けて、茶封筒を開いた。資料を取り出すと、ネックレスがしゃらりと中から滑り落ちた。
もう一度この特殊な呪具を手に取って、じっくりと眺める。小さな砂時計を横に倒したようなパーツを繋いだチェーンネックレス。珍しい模様だ。
誰がこれを万愛に授けたのか。それは大体の見当がついていた。千愛の事をずっと大切に見守ってきた人物……。
初めて会った時から、どことなく他の人間とは異色のものを感じていた。
それを裏付ける証拠は無いかと伊地知の調査書に目を通す。
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ネックレスのパーツの裏側には梵字のような呪印が刻まれていました。ड(ユ )と。その印が持つ仏教的意味は"来世での救い"です。術式と関係が深いと思われます。
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フム。噛み砕いていうと、呪印の意味は転生とか生まれ変わりってことだろう。つまり、時間干渉系の術式がこの呪具で用いられたってことだ。