第17章 帰還
「そろそろ私はお暇するよ」
硝子さんが立ち上がって帰り支度を始めた。
「ありがとう、硝子さん」
「どういたしまして。何かあったらまた連絡しろ。あぁそれと五条、これ伊地知から預かってきた資料」
硝子さんが鞄の中からA4サイズの茶封筒を取り出して悟に手渡した。
「頼んでた呪具の調査ね。サンキュ」
「呪具ってネックレスのこと?」
「そう」
私が付けていたネックレスは呪具だったようで、それについて悟は伊地知さんに詳しく調べさせていた。
硝子さんがソファーから立ち上がり玄関に向かう。私はさっき作ったばかりの酢の物を少し取り分けてタッパーに入れて包み、硝子さんの後を追いかけた。
丁度ヒールを履き終えたところだった彼女に差し出す。
「これ良かったら食べてください。お酒のあてにはならないと思うけど」
「いいの? じゃ遠慮なく貰ってくよ。美味しそうだし」
「はい」
にっこりと微笑んで頷くと、硝子さんは「その子はイケメンだよ。万愛ちゃんに似てね」と言ってヒラリと手を振りながら帰って行った。
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