第17章 帰還
私は獄門疆が開門される1週間前にこの世界に戻った。
目が開いたら自室のベッドの上に横たわっていて、ウェディングドレスを着た状態で眠っていた。
まるで渋谷事変があったハロウィンの夜まで巻き戻ったような、そんな感じだった。
「で、彼女が硝子を見て発した最初の言葉は、なんだったっけ?」
「本人に言ってもらえ」
「なんだっけ、万愛」
「悟、愛してる」
「うーーん、何回聞いてもいい響きだねぇ」
「違うだろ。ジョーアイシテルって、誰だよって意味不明だったんだからな」
「フフッ、まだ脳内があやふやで混同してたの」
「悟、愛してるの方に記憶を修正しとこうね、そこは」
私の脳内は最初はカオス状態だったものの、しばらくすると落ち着いて、信じられないことに千愛の記憶も万愛の記憶もほぼ欠けることなく結界を通り抜けることが出来ていた。
大量の呪力を脳内に取り込んだにも関わらず、だ。