第17章 帰還
そう、私達は悟が獄門疆から復活して間もなく入籍した。
世界が混沌として呪術界もまるで落ち着かない中、今このタイミングでしなくてもいいんじゃないかと話をしたけれど、悟は平然として言った。「いや、結婚するよ」って。
彼の誕生日(12月7日)が迫っていて、誕生日プレゼントの話になり"一番僕が欲しいのはお嫁さん"なんて言うもんだから、フィアンセの私が断る理由もなく、婚姻することにした。
急いで結婚した理由はもう一つある。妊娠の発覚だ。
私はどうやら悟の子を宿してこの世界に戻って来たらしい。向こうの時間でいえばまだ受精したばかりだと思うけど、次元による時間軸のズレなのか、この世界では既に妊娠4ヶ月になっていた。
それに気付いてサポートしてくれたのも硝子さんだ。悟は私が戻った時まだ獄門疆の中にいたから。
「行方が分からなくなっていた万愛ちゃんから突然連絡が来て、直ぐにマンションに駆け付けたらゲロゲロ吐いてて慌てたよ」
「世話になったね」
「ご飯の炊ける匂いが気持ち悪いってずっとムカムカしてるって言うからまさかと思って調べたら妊娠4ヶ月って。"千愛"には手は出さないんじゃなかったのか」
「千愛にはね。万愛の記憶を取り戻した後だよ、僕らがそうなったのは。両思いだったわけだしキスしたら止まんないでしょ」
「はいはい」
硝子さんが視線を斜め上に向ける。