第4章 隠し味
もうすぐお風呂が沸こうとしていた。自動で停止するような高性能な機能はないから手動で止めなくてはいけない。
「先生そろそろお風呂沸くのでどうぞ」
「君が入った後でいいよ、居候の身だしね」
五条先生はそう言ったけど、私はいつもお風呂は寝る直前だ。
カレーのおかわりもゆっくり味わいたいし、この後、洗濯して洗い物して、ナナミン漁りをするという大事なオタ活が残っている。
「先にどうぞ。私、片付けとかあるので」
「そう。何から何まで悪いね。千愛にはたっぷりお礼しないとね」
「カレー作ってくれたじゃないですか」
「そんなんでいいの?」
ふーんって珍しそうな顔して眺めてくる。私みたいなのを安上がりな女って言うんだろう。
普段五条先生が可愛がってる女の子はもっと欲張るのかもしれない。あれして、これして、って。彼の経済力に頼って甘えて、先生もきっとそんな女の子の要求を可愛く思うんだろう。