第4章 隠し味
そりゃあ私だって、もらえるならうん十万するブランドのバッグとか財布とか欲しい。
金塊とかダイヤとかたんまり欲しい。冥さんに送金したみたいに1000万円とか一括で振り込んで欲しい。
でもあなた今……無一文じゃないですか。
「お礼はいいです」
「なんで?」
五条先生を目の前にして、私はパチクリと瞬きをした。紙の上じゃない本物の生きてる五条先生がいる。それだけで幸せな事だ。
私はお金よりも好きなものがある。
――呪術廻戦が大好きだ。
「私は何もいらないから、向こうの世界に戻ったら先生の力を必要としてる人を助けてあげて。羂索を倒して平和を守って、宿儺に圧勝で勝って。出来たら虎杖君の未来もなんとかして欲しいな。それと、あと一つ」
「ん?」
「死なないで、五条先生……絶対に」
先生の顔に穏やかな笑みが浮かんだ。
「わかったよ」
そのまま私は彼を浴室へと送り出した。