第17章 帰還
◇
翌日……。
今度こそ本当に帰還だ。カーテンを開けると窓の外は爽快な晴れ模様が広がっている。旅立つには吉日のように思う。
クローゼットの扉を開くと、赤い光が変わらずそこに在る。悟の方はもう準備万端だった。
羂索や宿儺を倒したい思いも強いのだろう。羂索への怒気がとうに沸点を超えているのも伝わってくる。
ふとクローゼットに収納していたコミックが視界の隅に入り、私は思いついて、結界の入り口に立つ悟に声をかけた。
「ね、最後に一つ、お願いがある」
「んっ、なに?」
「これは千愛からのお願いなんだけど……もし獄門疆が開門されたら、ものすごくカッコよく登場して欲しいの。五条悟やっぱり最強! やばーい、死にそうーってオタクが唸るような再登場をしてほしいです」
「ふ、なにそれ」
「いいからお願いっ!」
悟がクスクスと笑う。
「わかったよ、怒りでキレそうなとこ抑えて、今までで一番かっこいい僕で登場してあげる」
「約束ね」
「ああ」
これでこの世界の五条人気は、益々爆上がりだろう。呪術オタクの一人としてささやかなプレゼントを残したつもり。