第17章 帰還
こんなに私の事を愛してくれる人は、全宇宙探してもいないだろう。
五条家と何のゆかりもない私が小さい時に悟と出会った事そのものが運命だと言うのならそうかもしれない。
込み上げて来たものが、今にも目から零れ落ちそうで、私は悟の胸元に顔をうずめた。
絶対的な確信に近い思いが生まれる。たとえ何もかも忘れてしまっても私はまた悟に恋をする。何度も何度も好きになる。千愛が五条先生を愛したように――。
しばらく抱き合った後、どちらからともなく体を離した。
「じゃそろそろ僕は行くよ」
「うん」
悟はきっと生徒たちのことも気にかかっている。いつ開門されてもおかしくないところまで呪術廻戦のストーリーは進んでいる。もうこれ以上犠牲を増やしたくない思いもあるだろう。
私は悟を見送ろうと覚悟を決めた。だけどまだ不安な表情を滲ませていたのだろうか? ポンっと頭に手を置かれ、顔を覗き込まれた。
玉の結界が通れない時はこの世界に戻って僕を強く思ってって言う。僕も万愛を思ってるからそしたらまた獄門疆を起点に君のところに来れるって。
そう言って彼が背を向けた時、私の中で鎖が切れたように一つの呪いが解かれた。