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【呪術廻戦】獄門疆から君のもとへ〜五条悟〜

第17章 帰還


 私はしばらく考え込んだ。

「これって、もしかして」

 ぎゅっと唇を結んだ私の近くに悟も寄ってきて、荒削りな玉の結界を眺める。

 結界の岩盤は呪力の塊で出来ていた。悟が人差し指、中指、親指の三本を結界へと向けた。
 
「僕が中に入って赫を放てば一瞬で開通すんじゃない」

「そう……だね」

 力無い返答をしてしまった。悟の提案どおりの事が出来れば、一発で貫通するのは間違いない。けれど、その可能性が低いことをお互いなんとなく分かっている。それを確かめるように、悟が玉の結界に手を伸ばした。

「……!」
 
 触れるとバチッと音を立てて、彼の手のひらに小さな火花が散った。

「やっぱり僕を拒むね」

「うん……私が術式で呪力を吸収して破壊するしかない」

 言わずと知れず心に重たいものが伸し掛かる。
 
「悟」

「あぁ、わかってるよ」

 術式で呪力を大量に吸い取るということは、私は再び記憶を損失するかもしれないということだ。

 羂索の戦いの時と同様なるべく記憶を――大切な思い出を呪膜で保護するけど、脳内への圧迫は避けられない。

 すぐに呪力をアウトプットするにしても、一時的にどれだけの呪力が脳に蓄積するのか想像がつかない。



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