第17章 帰還
こうして私達が帰還するインフラはいよいよ整った。
ここからの運びは、先に悟が獄門疆へと戻り、その後私が玉の結界から元の世界へと移動することとなる。
悟が獄門疆に戻るには私達が同じ熱量で思い合っている事が必要で、そのバロメーターとなる赤い光が発せられないと獄門疆への道は開通しない。
もし私が先に呪術の世界に戻ってしまった場合、私の愛がどう獄門疆に働きかけるのかは未知数だ。よって先に悟が動くのが妥当だという結論に達した。
もちろん残される私に不安がないわけではない。
よく見ると玉が開いた結界は、トンネルのような入り口はあるものの、そこから奥はまだ岩盤のように硬く閉ざされていた。
試しに片足を突っ込んでみると、ぐにゃっとして吸い込まれる感覚はあるもののあまり先に進むことができない。
ストローほどの穴から向こう側の光が差し込んでいるのが見えるだけだ。
なるほどあの戦いの中でこじ開けたのならこれが精一杯の大きさかもしれない。