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【呪術廻戦】獄門疆から君のもとへ〜五条悟〜

第16章 愛ほど歪んだ呪いはないよ


――私の妻にしてやろう。

 穢らわしい言葉が脳内で蘇り、全身の血の気が引いていく。

 オーナーの瞳の奥に宿るどろりとしたものは、羂索が私を映した目の奥にあったものと同じで、魂の形は奴そのものだった。

「嫌っ!」

 思わず声を張り上げていた。悟が私を守るようにして大きな背中に隠す。

 今、全てを悟った。オーナーが私と接触し、過ごしてきた時間は、その目的のためだったのだと。

 身体が小刻みに震えていた。肩からずり落ちたカーディガンを悟が羽織り直させてくれる。

 丸首が開いたルームウェア。デコルテにはたくさんキスマークがついていることを思い出し、さっと手で首元を隠した。

 そんな私の仕草は、余計に目立ってしまったのか、何とも言い難いオーナーの目線がそこに注がれたのを感じた。
 
「私は触れずにいたというのに……悟に抱かれたのか」

 低くくぐもった声で、奥歯を噛み締めるように顔を歪める。それは憎悪というよりも寧ろ落胆とか嫉妬に近いような口ぶりで、どう返答していいのかわからなくなる。それを悟が見逃すわけがない。

「オマエ、ひょっとして万愛に一目惚れしたんじゃない? 美人だからねぇ僕の恋人」

「はっ、馬鹿な。なぜ私がそんな弱い小娘に」

「千愛を醜い顔立ちに改造しなかったのは惚れたからだろ」

「何を言ってるのか意味不明だね。愛だのなんだのって熱心なんで遊んでみただけだ。余興だよ」

 二人の会話に愕然としながら、ふらつき壁に手をついた。オーナーと会っていた時、弄ばれてることにどうして気付かずにいたんだろう。

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