第14章 再会
「私はあなたの恋人だったの?」
「恋人だったって過去形は違うかな。今も昔も君は僕にとってたったひとりの特別な女の子だからね」
目頭がじわりと熱くなって、視界がぼやけ始めた。
記憶がなくなっても何度でも君を好きになるよって言ってくれた言葉を思い出す。
あれほど感じていた私と五条先生との次元間の隔たりが嘘のように消えてなくなった。
どうしてこんな大切なことを今まで思い出せなかったんだろう。きっとそれは、羂索の仕業……。
そして、今、記憶を取り戻したのは、五条先生と私の間に愛が芽生えて、それが通じ合ったからだ。――私の術式は愛が原動力みたいだから。
「悟、私まだ混乱してる。すべてを取り戻してはいない。記憶の中の自分と今の自分と見た目が違うのはなぜ?」
「おそらく羂索の術式だろうね。こんな面倒な仕掛けを思いつくのは奴くらいでしょ」
「ってことは、私は悟を助けに羂索のところに? でもわからない。私はこの世界の大学を卒業してファミレスで働いて、旧友がいて、まるで記憶がおかしい」
「それもだいたいの見当はついてる。けど、詳しくは君の術式が教えてくれるんじゃないかな。なんで僕が獄門疆からここに来れたのかも」
大きな手のひらで優しく髪を撫でられ、私達は再びベッドの上で重なった。