第14章 再会
闇の中に落とされたような不安に襲われて、ぎゅっと五条先生の服を掴むと、優しく抱きしめられた。
朦朧とした感覚の中で、再びパチンと何かが弾ける。そして信じられない事が起きた。私の内側から声が響いた。
『試しにもう一度人生をやり直したとして全く白紙の状態で五条悟と出会って、再び恋に落ちると思うかい?』
『落ちる。何度でも好きになる』
『ないない』
『私の術式は愛……』
これは――抜け落ちた記憶のフラッシュバックだ。どういうこと? 羂索と私が間近で対話している。術式って何? 体が震え出す。
五条先生に伝えようと思ったけれど、頭痛でまだ目が開けられない。次から次へと弾けるような痛みがやってくる中で、瞼の裏側に断片的な映像がふわっと浮かび上がった。
―――
『伊地知から呼び出されたよ』
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『行ってきて、お仕事だし』
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『大事な話があったんだけどね』
―――
『じゃハロウィンパーティは終わり』
―――
『待っててここで。ハロウィンの仮装してさ』
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そして大きな箱を開けると、真っ白に煌めくウェディングドレスが現れた――。