第14章 再会
「また僕のこと蹴っ飛ばす?」
五条先生は挑発的に笑った。私の様子を見ればそんな事しないのをわかっているだろうに意地悪を言う。こういうところが五条悟だ。私も負けちゃいないけど。
「こんなドレス姿で出来ると思う? それに身動き取れないように膝の間に身体を割り込んでるのは誰?」
「君の蹴りは強力だから防御しないとね」
先生は私の返答に楽しげな表情を見せ、見つめ合いながら二人でクスリと笑うと、ゆっくりと顔を寄せてきた。
吐息がかかる。
鼻先が近づくにつれ、心臓がばくばくと脈打っていく。
頬に手が添えられて、唇が重なる直前でピタッと止まった。
「もう一度伝えるよ。君を愛してる」
「私も五条先生を愛し――」
今なら素直に気持ちを言葉に出来ると思って口を開いたその時だった。
胸の奥が熱くなって、ぱちぱちっと頭の中で爆竹のような音が鳴り響いた。電流が流れたみたいにビリビリした痛みが脳内を横一直線に駆け抜ける。
「……っ!」
反射的にこめかみを手で抑えてぎゅうっと目を瞑る。
「どうかした?」
「ごめん頭が、急に」
いつもとは違う激痛が脳内を襲う。真っ暗で何も見えない。渋谷デートの時に起きた症状に似ている。