第13章 ハロウィンの花嫁
「獄門疆は源信の成れの果て。普通の呪物と同じだと思ってもらっちゃ困るよお嬢さん」
ダハっと下品な笑い声が響き渡った。その間もじりじりと獄門疆の呪力を奪う。
膨らんだ風船みたいにぱぁんと今にも頭が割れそうだ。羂索は宙に浮いた私の体を自分の方に引き寄せて、妙に艶めいた指先で私の鼻の頭をつついた。
「君の弱点が何かわかるかい? 君は愛がなけりゃ空っぽも同然。つまり五条悟が君の人生から消えれば非術師と変わらないってこと。次のお相手が出来るまでね」
「人生から消える? 私は何があってもずっと悟を愛してるし、悟も私を思ってくれてる」
「それはどうだろうね。君の記憶はこの戦いで大部分消失すると思うがね。脳の容量パンパンみたいだし」
私は口をぎゅっと結んだ。羂索は私の呪力が頭にこもる特異体質だと気付いたようだ。
記憶は確かに危うくなりつつある。思い出の一部が抜け落ちているのがわかる。けど、全て消えたりはしないはず。羂索が続け様に言った。
「君はもう五条悟とは会う事がない。残念だけどここでお別れだ」