第13章 ハロウィンの花嫁
「愛してる、悟」
小さく呟くと、すぐ側からせせら笑いが聞こえた。羂索の嘲りだ。まだ私は殺されていないようだ。
「愛してるか……面白いね」
「面白い? なにが」
「愛なんて戯言は千年前から存在してるけどまやかしだよ。五条悟は君の術式目当てで婚約したのだと思っていたが違うのか……ハハ、笑えるね」
何一つ笑えなくて悟を侮辱するのも許せなくてこれ以上ないくらいの怒りが込み上げた。
「愛ほど強大な呪いはない。乙骨憂太の愛の力で折本里香が特級過呪怨霊になったのを知らないの?」
「あーあれね。それも偶然生まれたものだよ。愛とは幻覚みたいなもの。たまたま出会ってたまたま心を奪われた偶然の産物ってやつ。試しにもう一度人生をやり直したとして全く白紙の状態で五条悟と出会って、再び恋に落ちると思うかい?」
「落ちる。何度でも好きになる」
「ないない」
羂索のガワは眉目秀麗な傑さんのはずなのに、ひどく醜い顔をして笑った。