第13章 ハロウィンの花嫁
羂索が一歩こちらに近付いた。
「君は弱いくせになかなかの邪魔者だな。五条悟が側においたのはこういうことだったのか」
体を浮遊させられて、まるで力が入らない。直ぐそこに悟がいるのに近付けない。あと少しなのに……。
獄門疆の呪力はほとんど吸い取って弱体化している。特級呪物としての力はないように思う。
脳に溜まった呪力を一気に発散できれば爆撃に近い力を出すことができるが、今は"僕が制御する"と悟が言ったとおりリミッターがかかっているのだろう。存分にアウトプット出来ない。
負けだ。きっと死ぬ。
悟ごめん。
悟を助けたい一心でここに来たけど駄目だった。
私に悔いはない。もともと呪詛師に拉致された時に悟が助けてくれなかったら死んでいた。
けれど悟は怒るだろうな。何やってんだよって。毒饅頭食うような真似するなって言っただろって。
デコピンじゃ済まないよね。でもきっとこれは本能みたいなものなんだ。愛する人を守りたい――そういう術式が刻まれてるの。