第13章 ハロウィンの花嫁
メモにはまだ文が続いていた。術式は僕に任せて信じてよって。ふたりで制御してんだから心配いらないって書かれてる。
ふたりで……か。
その言葉にずしっと重みを感じた。これまでひとりで何とかしなきゃと考えすぎていたのかもしれない。私の術式は二人の愛情で成り立つものなのに。
余計なものを取り除けば、私たちの関係はすごくシンプルなものだった。幼い時から側にいて、この先も一生寄り添っていてほしい相手。ただそれだけ。
――結婚して悟と幸せになりたい。
今、素直にそう思う。まだ間に合うかな?
渋谷に向かう車中なら繋がるはずと思い、この気持ちを伝えようとスマホを手に取った。電話をかけるとツーコールで悟に繋がった。
「悟、あの。仮装のことだけど」
「あーごめん、ちょっと今、取り込んでる」
「そっか。ごめん仕事中に」
「悪いけど帰ったら聞くよ、僕も言い足りてないしね」
電話口の悟はどことなく落ち着かない感じだったから、邪魔をしてはいけないと思いすぐに電話を切った。