第13章 ハロウィンの花嫁
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「カンパーイ」
ワイングラスの音が子気味よく鳴り響いた。食前酒ならぬ食前炭酸ジュースでパーティー開始だ。
「乾杯はもう少し後にしたかったんだけど……まいっか」
「ん? なんで?」
「や、なんでもない」
歯切れの悪い返事が返ってきたけど、悟はそれ以上は何も言わずシャンメリーを口にした。
リビングにはジャック・オ・ランタンの明かりが灯り、真ん中に置かれたテーブルの上には腕を振るった料理とお菓子が並べられている。
「ハッピーハロウィン! 召し上がれ」
「いただきますっ」
料理を口に運ぶ。前菜はあっという間に完食した。
グラタンはホワイトソースから手作りしてみたのだが、なかなかうまくできたと思う。バゲットをかじりながら食べるのも美味だし、ちぎって浸して食べても絶品だ。
悟も次々と料理に手をつけていた。スープはおかわりしたし、デザートのパンプキンパイも甘くてお気に召したようだ。
「どれもこれも美味くてホテルのレストランで出せるレベルだよ」
「嬉しい。ありがとう」
褒められて気分がぐーんと上がる。呪術と無縁の世界に生まれていたら外食産業で働いていたかも、なんて思うこともある。
賑やかな洋楽のメロディーをBGMに私達は少し早めのディナーを楽しんだ。