第13章 ハロウィンの花嫁
食事が終わるとSwitchをつけた。子供の時に遊んだ習慣で悟と私はゲームもよくやる。
本日もマリオカートに全負けしてすっごい悔しい。バケツサイズのアイスクリームを抱えてやけ食いした。
「万愛のそういうとこが可愛いんだよね」
「ムカつく! 馬鹿にしてるでしょ」
「結婚したら毎日対戦してあげる。五条先生がしごきます」
「絶対コテンパにしてやるんだから、って悟……その話だけど」
そこから婚約の話になった。
楽しく時を過ごしていても将来の話になると、どこか薄暗い雲に覆われたようなどんよりとした空気に様変わりしてしまう。これも毎度のことだ。
結婚に関して思うところがあった。さっき料理に取り掛かる前にちらっと浮かんだ事だ。
「あのね。悟が私を守って婚約者にしてくれたことは嬉しかったけど、でも悟の人生を決めるのに早すぎたんじゃないかっても思うの」
「別に早くないでしょ。今も僕たち仲良しこよしじゃない」
「それは……否定しないけど、悟には良縁の話が……」
言葉が詰まって下唇を噛む。実は先日、悟に縁談が来ているのを偶然知ってしまったのだ。
お相手は家柄も容姿も申し分ないご令嬢だった。