第13章 ハロウィンの花嫁
絶対正解だと思っていた自分が恥ずかしい。
頬が熟したトマトみたいになっているのを見られたくなくて顔を背けた。
なのに、わざと目を合わせてきて「えっちな万愛も悪くないよ、僕に躾けられたって感じでさ」っておどけてくるからパシッと数回腕を叩くと、「おー怖っ」って彼はわざとらしく怯んで見せた。
無下限はいつも解かれてるし、私のパンチや蹴りなんか痛くも痒くもないんだろうけど、こういうやり取りを楽しんでいるようだ。
そう。私たちは決して仲が悪いわけではない。
だけど、悟との婚約が結婚へと進まないのは術式以外にも理由がある。
重たい気持ちになりそうで、今はそれを考えるのをやめて私は調理にとりかかった。