第12章 ファーストキス
「離れて!」
叫んだけど男たちは押さえつけようとしてくる。
主犯の女以外は、全員呪術を扱う人間のようだ。呪力をほとんど吸い取っているから、体内の変化に戸惑っているように見えた。
その隙を見て私は逃げた。地下への入り口を見つけたからそこに向かって走った。
地下に向かって術式を発散すれば被害は最小限になりそうで。
ひとり追ってくる男がいる。その後ろから主犯の女も追随してくる。
「早くあの女を捕まえて。五条さんから引き離すの。金は渡したでしょ。さっさと犯して」
そんな醜悪な言葉が聞こえた時、感情のコントロールが不可能になった。
何かが内側から押し寄せる。なぜか悟とのキスや抱かれてる時のことを思い出した。あったかくて包まれる感覚。
こんな時に……。