第12章 ファーストキス
こめかみがじくじくして、その疼きを抑えようと自然に掌印を結んだ。三角形のデルタの形。誰に教わったわけでもない自分に刻まれた術式。
それは支え合う男と女のように両手の指で作られる形だ。それをこめかみに当てると痛みが減った。そこから呪力が入り込む。
体の中に沸くのは嫉妬、妬み、独占欲、憎しみ、死ねばいいのに、ぐちゃぐちゃになれ、蹴落としたい、こんな醜い感情だ。
悟が好きなのにそんな温かい気持ちじゃなく、負の感情が全身に溢れ出る。そして……。
溜まった呪力が一気に放出される感覚がした。爆発しそうな気がする。
このままだと私以外の全員が死ぬ。そう思い椅子の上で身を捩ると、縛られていた紐が簡単に弾け飛んだ。