第3章 下着
仕事に行く支度を終え、髪型とメイクをもう一度鏡で確認してコートを羽織る。
出勤用のトートバッグを肩に掛けると五条先生がベッドから立ち上がった。どうやら私を玄関先まで見送ってくれるみたいだ。一緒に玄関に向かう。
「さっき言ったこと覚えてます?」
「あぁ、外に出るなって話だろ」
「うん。仕事帰りに変装グッズ買ってくるからそれまでは我慢してくださいね」
「はいはい」
朝食を食べ終えた後、彼に話をした。まんま五条悟で外に出る事が、いかに世の中に混乱を引き起こすかってことを。考えれば考えるほど二次元が三次元にいるなんて大問題だ。ネットニュースどころの騒ぎではない。
即刻ひっとらえられて、大学病院行きだろう。身体を隅々まで検査されて、血を抜かれて尿を取られて研究材料にされた後、集英社に運ばれ、イベント会場の展示物になる。
そのあと呪術カフェの客寄せパンダをやらされ、さんざん晒され、利用された後は、原作に影響するからって存在を消されるかもしれない。
「物騒な世界に来たもんだねぇ」
「先生の世界よりはましかと。とにかくお昼ご飯はさっきコンビニで調達したし、今日は部屋で耐えて」
「わかったよ」
「それと、私がいない間の注意事項を二つ言います。手短に話すから一回で聞いて」
「ん」