第12章 ファーストキス
目が合ってパチッパチッと二回瞬きしている間に、鼻先が近づいてその距離は数センチになっていた。呼吸が感じられるほどに近い。
風が通り抜けてカサカサって木の葉が音を立てると、ここがひとけのない公園だと急に意識させられて、しんとした空気を感じた。
「キスするけど、いい?」
「……していい、じゃなく決定なの?」
「我慢の限界なんでね」
「ぇ……そんなに……ならどーぞ急いで、はやく!」
いっぱいいっぱいで、何を言ってるのか訳がわからない。目をつぶらなきゃとか思って慌てていると悟が、ぶふって吹き出した。