第12章 ファーストキス
心を落ち着けてもう一度悟を見上げると、オレンジ色の空を背に白い髪がさらさらとなびいている。サングラスに夕陽が反射して少し眩しい。
「返事、聞かせてくれない?」
そう言われて三秒後、ゆっくりこくりと首を縦に振った。OKの意味で。断る理由が見つからなかった。告白を嬉しいと感じている自分がいた。
悟の四つ下という年齢差。どんなに大人っぽく装っても、背伸びをしても、永遠に埋まらない年の差。
悟は基本私に優しくしてくれるけど、それは単に私が幼いからで、五条家が面倒を見ている子供だからだ。会うたびにガキだと言われる。
小さい頃は別にそれでよかったけど、だんだん馬鹿にされているような気がして。
私だって日々、大人になっているんだと、発育だってしてるんだからと、胸が目立つようなTシャツを着てみたりしたけど"万愛だけにまな板だよなぁ"なんて言われて腹が立って、ふざけんなーって蹴っ飛ばした事もある。
こんな兄妹みたいな関係が一生続くのだろうと思っていた。