第12章 ファーストキス
「今さらだけどさー」
「うん」
「付き合わない?」
「……え……ぇえ!?」
悟とそんな会話をしたのは、私が高1の学校の帰り道だった。木の葉が色づく秋の夕暮れ、ぶらっと公園に立ち寄った時だ。
「付き合うって、す、好きなの? 私を」
「じゃなかったら何なの?」
「あそび……とか?」
悟は目を見開いたかと思うとすぐにクスクスと笑った。
「呪術師はそんな暇じゃねーよ。万愛を弄ぶつもりならとっくにやってるしね」
軽く言うけど私は笑う余裕などない。
ひゅっと秋風が頬を撫でて、冷たさを感じるはずなのに、顔だけが火照って熱い。心臓もバクバクするから胸に手を当てて、呼吸を整えた。