第11章 硝子

　最後に私も友情とやらを見せてみた。一応五条のためだ。

　こういう顔がよくて中身に難ありの奴は、本当の恋には手こずりそうだからさ。
　
「んなこと言って五条、万愛ちゃんが初デートに行っても私や夏油に当たるなよ。彼女が見てる男は五条だけじゃないからな」

「デートなんて行かねーって。あいつは好きでもねー男に手握られると蕁麻疹出んだから。だいたい俺より万愛を守れるやつなんていねーじゃん？」

　ここまでくるともうどうでもよくなってきて、私は煙草に火をつけた。

　蕁麻疹は嘘ではないようで、これも万愛ちゃんの体質みたいだ。好きな男じゃないと拒絶反応が出るってのは、なんか術式に関係してんのかもなとも思う。
　
　んで五条の手なら触れても蕁麻疹は出ないのかとツッコミたくなった。それは両思いって自白してるんだろって。

　だがそれを言ってみたところで、どうせろくな答えは返ってこないだろう。五条の精神年齢がもう少しオトナに成長するまで待つしかない。

　煙をふうっと天井に吹き上げて、それを終局の合図みたいにしてこの話は終わった。