第3章 下着
「……僕の目にはベーコンエッグ&トーストに見えるけど。あとこれはトリュフじゃなくてしめじだよな」
「似たようなものです。きのこ系だし」
「いや違うでしょ」
「もっ、いじわる。ノってくれると思ったのに」
私が口を尖らせると五条先生はふっと頬を緩めた。柔らかな表情になったのを見て私も笑みを送る。くだらないけど、こんな事で少しでも笑って心に希望の明かりが灯ればいいなと思う。
「千愛は明るい子だね」
「普通ですよ」
そう言うともう一度五条先生は穏やかに口角を上げた。
その唇は本日も艶々で、六眼ではなくても青い瞳は澄み渡った空のように輝いていて、ふさふさの白いまつ毛は扇みたいで、瞬きする度美しい。
ずっと見ていたい気持ちにさせられる。本当にイケメンさんだ。魔法にかかったみたいに、そのビジュアルにぼうっとしかかったけれど、テレビから時報が流れてハッと日常を思い出した。
「仕事に行く準備しなくちゃ。サービスはここまでです。コーヒーは自分でお湯沸かして飲んでくださいね、インスタントしかないけど。後、お砂糖はこれ」
気の利いたスティックシュガーや角砂糖などは置いてなくて、調理用のお砂糖ポットごとローテーブルに置く。