第3章 下着
"チン"とトースターが焼き上がりの音を知らせた。
焼けたトーストを取り出し、まな板の上でザクッと斜めにカットして台形型にする。フライパンで調理したベーコンエッグと一緒にワンプレートに乗せたら完成だ。
ヨーグルトも添えようかと冷蔵庫を覗くと、二段目にしめじが見えた。もう一度ちらっと五条先生を見る。さっきと変わらず口を結んだまま、手のひらを見つめている。
別に悩んでるって風でもないけど、そういう心の機微を簡単に表に出す人ではないんだろう。まして昨日会ったばかりの私みたいな普通の人間相手ならなおさら。
少し考えて、冷蔵庫からしめじを取り出しささっと塩胡椒で炒めた。盛り付けしたワンプレートに乗せ、カテラリーと共にローテーブルの上に運ぶ。
「五条先生朝食です。はいどうぞ」
「あぁ、悪いね世話かけて。美味そうじゃん」
「エッグベネディクト黒トリュフ添えです」
胸を張って言ってみた。五条先生は私の出した料理を眺めている。なんとも言えない間が空いた。