第11章 硝子
万愛ちゃんが来る当日、私と夏油が寮の入口で待っていると、遠巻きに二人が横並びで歩いてくるのが見えた。
カンカン照りの夏の眩しい太陽が、五条と万愛ちゃんの白い髪に反射してハイライトのようにキラキラと光っている。
なんというか……絵になる。
五条がポケットに突っ込んでいた手をすっと出して、万愛ちゃんの手首を掴んだ。
もたもた歩いているからイラついて手を引いたのかと思ったら違う。万愛ちゃんを日陰まで引っ張って行って直射日光に当たらないように歩かせている。
嘘だろ……こんな気遣いが出来るのか。
この時点で、既に私の口は半開きになった。