第11章 硝子

　パソコンが置いてある角のスペースへと向かう。万愛が初めて術式を自覚して呪術を使った案件をもう一度確認したくて。

　今、万愛との関係がこじれてんのはこれが絡んでる。パソコンのフォルダから5年前の資料を開いた。

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　記録――2013年5月
　加害者　五条万愛 19歳。
　被害者　非術師1名と術師（訂正:呪詛師）3名。内1名死亡

　五条万愛の術式により、横浜港近くの倉庫三棟全壊。震度2と観測される。帳なしで術式を使ったため、気象庁との擦り合わせを要する。術式は……。
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　これまで何度も見てはいるけど、もう一度記録の全てに目を通した。
　
　パソコンを閉じて、硝子にもうひとつお願いした。

「獄門疆から千愛のところに戻ろうと思う。だけど、彼女の僕への気持ちが薄れていると異次元に移動出来ない。ちょっと悠仁と恵をここに呼んでくんない？」

　◇