第11章 硝子
僕は異次元の世界にいた千愛のことを硝子に話した。
記憶を失ってるし姿は違うけど、僕が見た千愛の魂の形は万愛と同じだったと、羂索によって万愛は異次元に送り込まれたんじゃないかと仮説を伝える。
「どう思う?」
「五条と同じ考えだ。その千愛って子は万愛ちゃんだろ。お前が何年も愛してる女を見間違えるとも思えないしな」
万愛の安否を内心ずっと気にかけていたのか、硝子は少しほっとした様子で煙草に火をつけた。ふぅーっとひとつ煙を吐く。
「で、どうする。どうやって助ける?」
「その救出方法を考えたくて、硝子んとこに来たんだよ」
「はっきり言ってこれまで扱ってきた事例の中でもかなり難解だぞ」
「あぁ、分かってるよ」