第11章 硝子
「本物か?」
「本物だよ。こんなイケメンそういないでしょ」
目隠しを片側だけクイッと上げて、挨拶がわりに碧眼を見せる。
「封印されたんじゃなかったのか!」
「されてたよ、ついさっきまでね。たった今抜けてきたってとこかな」
「どういうことだ。何があった」
「これから話す」
僕はソファーにどかっと腰掛けて、獄門疆の中で起きた事象をざっくりと話した。
「歌姫と冥さんが閉じ込められた呪霊の結界って覚えてる? 時間ズレてた系のやつ」
「あぁかなり昔の話だな。2日ずれてたやつか」
「あれと似た感じの結界が異次元まで続いていて、そこにしばらく滞在してた。こことは年単位でズレが生じてる」
「羂索の結界か。あり得るな……それで?」
硝子の相槌を挟みながら話を続けた。