第11章 硝子
万愛と僕は付き合い出してから8年が経つ。一応恋人同士ではあるものの実は少し関係がこじれている。
数年前から彼女は僕の婚約者って事になってるんだけど、万愛がそれをすんなりと受け入れていない。僕の事をどう思っているのか、はっきり言おうとしない。
それは僕がだらだら万愛と付き合ってるとか、女の子とふらふら遊んでるとかそういう事じゃない。僕なりに万愛の気持ちを考えてたつもり。
力づくで彼女を五条家に腰入れさせてずっと僕の側に置いておく、なんてこともやれなくはないけど、そんなやり方じゃ万愛は幸せになれないでしょ。
それもこれもひっくるめて、僕はあのハロウィンの日、ちゃんと気持ちを伝えてプロポーズするつもりだった。