第11章 硝子
それよりなにより千愛を他の男に奪われるのは僕の心が正常でいられなくなりそうだしね。考えただけで焦りと怒りで気が触れそうになるよ。
死滅廻游の場に出て行くよりも、まずは千愛……いや万愛の救出が優先だ。
彼女をこちらの世界に取り戻してからじゃないと、僕は存分に戦えない。
羂索が彼女を異次元に置いている状態では最強の僕でもさすがに彼女を守りきれない。
万愛を失いたくない。
どんな時も僕に寄り添ってた万愛。
彼女は僕の全てなんだよ。
恵や悠仁たちが獄門疆の封印を解きに来る前に、僕は水面下で万愛の救出に向けて動く事にした。
制服に着替えてアイマスクをつけ、硝子のもとへと念じて立ち上がる。
赤い光に導かれて獄門疆の壁に手を触れると、クローゼットに移動した時と同じように崩れ去り、その先は高専の地下へと続いていた。