第10章 本当の出会い
今度は喜んでもらいたい。毒が入ってる事を知らせなきゃ。悟の命を守らなきゃ!
和室に向かうと、まさに悟が今、そのよもぎ饅頭に手をつけようとしていた。思わず私は駆け込んだ。
「ダメェ!」
悟の元まで全力で走る。周りの大人は何が起きたかわからない感じであたふたし、行儀が悪いとお叱りが飛び、私はいつもみたいに畳のへりにつまづいてこけた。
それでも構わず悟の前まで四つん這いで近付いて、お盆に乗ってるよもぎ饅頭を掴む。
悟は何やってんだって顔して私を見る。
「なに? 食いてーの?」
「食べちゃ駄目。これ毒の呪いが入ってる」
「んなもん六眼は知らせてねーけど」
「りくが、ん?」
落雁(らくがん)ってお菓子なら知ってるけどりくがんってなんだ?
悟は気にせず手に持っているよもぎ饅頭を口に運ぼうとした。